隠岐の島 見聞録 8 (最終回) まとめ
以上、紹介してきたとおり、隠岐の島はすばらしいところです。
しかし「観光」という点では、まだ発展途上です。すくなくとも管見のかぎりでは、山陰地方の旅行ガイドに隠岐は紹介されていません。
隠岐の魅力は、雄大な自然とひとびとの厚い人情です。それはガイドブックに計量化して載せられるものではありません。
また新鮮な空気、おいしい水、米、星いっぱいの夜空……。それは島の人にとって「当たり前」のものであって、都会から来た者がはじめてそのかけがえのなさ、ありがたさを実感するものです。山と森、美しい海、それらも島の人にとっては生活の一部として溶け込んでいます。それゆえ、観光振興に隠岐がいま一つ積極的でないのも分かる気がします。また、リゾート開発なぞしたら、隠岐の魅力が失われてしまうでしょう。
ただ、一つだけ提案したいことがあります。これだけの水(火山からの豊富な湧水)と米がありながら、島で生産されている日本酒は醸造用アルコールをぶち込んだものばかり。清酒を造れば、きっと島のアピールにつながるはず。酒蔵も、今は二軒に減ったとはいえ、健在なのだから、一般消費用の銘柄に加えて、吟醸酒にも挑戦してみては? 日本酒好きからのリクエストです。